大人雑談掲示板
- Re: 藍より出でて青 ( No.10 )
- 日時: 2019/09/28 01:34
- 名前: 百田 ◆yaY4zarJ.M (ID: k8cJIfhT)
練習_
喫茶店員,常連客
短
「いらっしゃいませ。...何時もので宜しいですか?」
「嗚呼、お願いします」
よく行く喫茶店のカウンター、定位置に腰かければ見慣れた店員さんの無愛想な声音にも不思議と安堵して。
中
「お待たせいたしました。ブレンドです」
「ありがとうございます」
珈琲を淹れる手付きが当然だけど軽やかで、かつ無駄のない動きが美しかった。揺れる水面と真っ白な店員さんの手をじっと見つめていれば目の前に出された"何時もの"。スティックシュガー1本とミルク2つ。毎度の事ながら「ブラックで飲め」なんて思われたりしているのだろうかと少しだけ相手の顔を盗み見つつカップに口付けて。
長
少しだけ、そんな風に心で呟いてまだミルクも砂糖も入っていない正真正銘ブラックコーヒーの入ったカップを口に付ける。鼻腔をくすぐる苦々しい香りは好きだ。嗅ぐだけで目が覚め頭が冴えそうで。
「ん、く.....ぅぁにが...」
傾けかカップから口内へ流れた黒い液はやっぱり苦くて、この二十うん年間飲めなかったのだ。当然だけど今日だって飲めない。諦めて何時ものように黒い液を白く染める。コーヒー好きに怒られそうな甘さに変える。
そして再び口に含めば「うま」と一言零してしまうくらいには安心できる味だった。そうやって一息ついた頃にようやっと俺は、あの優雅にコーヒー
を入れる店員さんが此方を見つめていることに気づいた。
なにか顔についているのだろうか。それとも身だしなみか?あとはやっぱりブラックで飲まないことへの疑念の意味の眼差しだろうかとにかく穴が空くのではないかと思う程には見つめられて此方としてもしどろもどろしてしまう。このままこの1杯を飲み終えるまで見つめ続けられるのではたまったものじゃない。意を決して店員さんに声をかけた。
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