大人雑談掲示板
- Re: 性癖暴露大会会場 ( No.32 )
- 日時: 2022/03/28 23:54
- 名前: 朧月 (ID: fpEl6qfM)
では、松城追加……
絵が大好きな城さんの話。
松や城、陽立ちがシェアハウスしてる家の近くには、少し小さな美術館があって、城は毎週日曜日は必ずそこに行って、ルネ・マグリットの「現実の感覚」(https://i.pinimg.com/originals/f5/b8/9a/f5b89a90e9e03fca716dbe524c443e96.jpg)っていう絵を見に行く。松はそれに「二人だけの時間を過ごしたい」という下心からついて行く。城は「邪魔さえしなければ誰が来てもいい」というスタンスなので何も言うことなく放置している。
城は美術館へ向かっている間も、美術館で絵を見ている間も一切一言もしゃべらない。ただ、うっとりとした、恍惚とした目で絵を何時間も見続ける。遠くから見たり、近くで見たり、座って見たり、立って見たり、筆の跡を指先で追ってみたり。いつも最低30分はそこに居るが、何時間居るかは日によってまちまち。半日居ることもあるし、丸一日だったり、たった30分で帰ってしまうときもある。いつ帰るか分からないが、城はいつも絵を見ている間に必ず一回は恋する乙女のような美しい、けど儚い顔を浮かべる。その表情をするときもいつもばらばらで、不意にそんな顔をするもんだから松はいつも心臓ばくばく。でも、その顔を見るために城の邪魔を一切することなく二人で美術館に来てたりする。そしていつも、二人は城のタイミングで唐突に帰っていく。入館料はいつも割り勘。というか、自分の分は自分で払うシステム。
それとは別に、城はシェアハウス宅の庭の一角に広めの個人用アトリエを持っている。ここは部屋の中を一切いじらなければ誰が入っても構わないシステム。城はいつも、ここか自室に居る。で、ここにはひいねえの描いた油絵が大切に保管されている。城はそれを自分のメンタルに害が出たとき、決まってアトリエに来て、見る。いつもは白いカバーの掛かっている油絵を、カバーを取り払って見るとき、また城は恍惚とした、恋する乙女のような表情を浮かべる。もちろんやっぱり、城を好きな松もアトリエに来ている。そしてそのまま美術館の絵と同じように筆の跡を指で追ったり、いろんな角度や位置から見たり、触れたりする。けど、この絵には、城は美術館の絵とは違ったことを、一つだけする。それは、「城のメンタルが酷くやられていたときに、油絵の額縁をひっかいてしまう」こと。それは、やっぱり何でも抱え込んじゃう城の小さな小さな心のSOSで、それに気がつくためにも松はいつも城がこのアトリエに来るときには一緒について行く。
松の心境としては、「城は自分に絶対振り向かない。こちらの気持ちを知っていてなお、友達以上恋人未満であり続ける。だから、一度くらいはあの恋するような目で自分を見てほしい」と思って居る。もちろん城はこれには気がついているが、悪化の一途をたどる自身のカニバリズムと、人間に興味が沸かないためにずっと見て見ぬふりをしている。
結局、城がそのわずかなSOSを出した日の夜は、城はほぼ必ず松に抱かれている。でも、あいかわらず
松「……する?」
城「……。」
といったようにいつも誘うのは松の方で、城は「沈黙の肯定」しか表現しない。それ以外は一切無表情無口。抱かれるときは本当に優しく、でも激しく抱かれて声も出てしまうが、やはり一切感情や意思は示さない。
そうして抱かれた翌朝の城。松より先にひょいっと起きて、抱かれるときにそこら辺に脱ぎ捨てられた衣服のポケットからタバコとライターを取り出す。部屋の窓を開けて、そこらに落ちてたぶかぶかの松の衣服を適当に羽織り、ベランダから煙草を吹かす。それがいつもの日課で、松に抱かれた日は松が起きてくるまでずっとタバコを吸ってたりする。
で、松が起きてくると
松「ん……おはよー。」
城「はよ。朝ご飯でも作ろうか?」
松「……食う。でもその前に……。」
そう言って松は城に後ろから抱きつく。
城(あんたそれ好きね。」
松「あんたもだろ」
城「否定はしない。」
そうしてしばらくした後に、城は服を着てシャワーを浴びて朝ご飯を作りに行く。
そんな感じのくっつきそうでくっつかない、離れそうで離れない、微妙な距離感の二人のお話。毎週こんなかんじのループを繰り返してる。