大人雑談掲示板
- グランギニョルの舞台裏/ルネコの備忘録
- 日時: 2025/09/14 14:55
- 名前: ルネコ (ID: hxRY1n6u)
Archive
▼ ルネコの備忘録#1_ジェイド・ハイネ・ミリアム編 ▼ >>1-4
▼ ルネコの備忘録#2_アッシュ・ラザロ編 ▼ >>5-7
▼ ルネコの備忘録#3 _ カナニト・ラクシュエリ・レンブラント編 ▼ >>8-11
▼ ルネコの備忘録#4_テオ・マリーシュカ編 ▼ >>12-13
▼ ルネコの備忘録#5_ウーミン・ヴィンス編 ▼ >>14-15
▼ ルネコの備忘録#6_ギンハ・シャルロット編 ▼
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- Re: グランギニョルの舞台裏/ルネコの備忘録 ( No.7 )
- 日時: 2025/05/09 08:13
- 名前: ルネコ (ID: J1W6A8bP)
後日、迷惑な腐乱臭を引き連れてゾンビも詫びに来てくれた。鉄が凹みそうなほどの馬鹿力でノックをされた時にはいよいよ終わりかと思ったが、理性がある状態の彼は確かに悪い奴ではない。ボリューム調節のつまみが壊れたラジオの様な爆音で”ルネコオオオオゴメンなアアアアア”と泣き付かれた。その時着ていた服は血と腐肉で使い物にならなくなったので、俺に新しく上質な上着をプレゼントする、という約束で許してやった。
P.S.後日彼から届いたジャケットは、迷彩柄のMA-1だった。中々着心地が良い。
To be continue...
__この様に、事の運びによっては怪物達からプレゼントを貰う事もあります。
→次話「 #3 カナニト・ラクシュエリ・レンブラント編 」
→前話「 #1 ジェイド・ハイネ・ミリアム編 」
- Re: グランギニョルの舞台裏/ルネコの備忘録 ( No.8 )
- 日時: 2025/05/16 16:23
- 名前: ルネコ (ID: J1W6A8bP)
▼ ルネコの備忘録#3_カナニト・ラクシュエリ・レンブラント編 ▼
簡易的なキッチンや、一人用には贅沢すぎるほど広いバスルームが備え付けられた部屋では、生活に事欠くことはない。
食料は使い魔が定期的に運んできてくれるし、衣服やシーツ類もいつの間にか洗濯されている。正直に言おう、今の所この屋敷での暮らしは快適だ。自分用の食事、服、ベッド、それらが誰かに奪われる心配がないという環境は、スラム街で生まれ育った俺にとっては天国だった。
__だから油断していたんだ。怪物たちが奪っていくのは俺の命である、という自覚が薄れていた。
- Re: グランギニョルの舞台裏/ルネコの備忘録 ( No.9 )
- 日時: 2025/05/24 14:24
- 名前: ルネコ (ID: l38dU1rK)
風呂上がり、濡れた髪をタオルで拭きながら部屋の中を歩く。冷たいレモネードを一気飲みしてぷはぁと息を吐くと同時に、耳の穴に冷たい息を吹きかけられ思わず情けない声を上げてしまった。
”不用心やなあ、鍵開いとったでぇ”聴き慣れない訛り口調、おっかなびっくりそちらを振り向けば、目についたのはコウモリの様な翼と緩く笑みの形を描く垂れ目。人外さながらの青白い肌を目にしても、彼の持つふわふわした雰囲気が俺の油断を助長した。
何か用か、と問う前に、あっという間に傍にあったソファーへ押し倒された。組み敷かれると同時に、コウモリの様な翼が広がっていくのが視界に移る。__恐ろしい。これは人知を超えた暴力の象徴だ。舌なめずりしながら顔を覗き込まれ、俺は体中を硬直させた。
- Re: グランギニョルの舞台裏/ルネコの備忘録 ( No.10 )
- 日時: 2025/06/08 14:21
- 名前: ルネコ (ID: zT2VMAiJ)
刹那、ふわりゆらりと漂ってきたのは、ムスクの様なバニラの様な、はたまたシャンプーの様な柔らかい甘い香り。”ちょっとルネコぉ。ニトよりエリの方が良いでしょお?”甘ったるい砂糖菓子の様な声に誘われるがままそちらを見れば、いつの間にか俺のすぐ隣にしゃがみ込んでいた女の子の姿が。俺の上に乗っかっている彼と同じ青白い肌、緩やかなS字の赤い角。金色の髪に彩られた顔は、ふくれっ面でも可愛くて__否!それ所ではない、今俺はバケモノ2人に命を狙われているんだ。
初対面なのに彼女が俺の名前を知っていることを不審がる余裕もなく、頼むから離してくれと懇願した。”え〜どないしよかなぁ””だってエリ達お腹空いてるし”””ねー””命のやり取りを目の前にしても、倫理観や罪悪感を欠片すらも感じさせずくすくすと笑い合う2体の悪魔の横顔を唖然と眺める。今まで俺が出会った怪物達が概ね話の分かる面々だったのだと思い知らされた。俺はこのどちらかに喰われて呆気なく死ぬのだろうか、そう考えざるを得ず観念しかけた所で、コツンと上等な皮の跫音が響いた。
- Re: グランギニョルの舞台裏/ルネコの備忘録 ( No.11 )
- 日時: 2025/06/28 11:26
- 名前: ルネコ (ID: 3KWbYKzL)
”__そんくらいにしといたり。”落ち着いた大人の男性の声が頭上から降ってきたかと思えば、2人はにまにまと笑ったまま俺の傍から離れて行った。どこの誰かは知らないが、命を救ってくれた礼を言おうと彼の顔を見れば、そこにはまたしても角と翼と尻尾。…嫌になりそうだ。
ともかく助けてくれたのは事実、得心のいかない様子ながらも謝意を告げると”礼には及ばんよ、そン2人も元から食べる気はあらへんかったやろし” 蛇を思わせる細い双眸を気さくに緩め、朗らかに弧を描く唇からあっけらかんと言い放たれる拍子抜けの事実。食べる気が無かったのなら何故こんな事をしたのかと不満を滲ませながら問うてみると、3体の悪魔は口を揃えて”””新入りでは遊んどかな損やろ?(でしょ?)”””と。
__態々誰かに説明して貰わなくとも理解できた。こいつらは悪魔だ。かつてのゾンビの時みたく詫びでも請求してやろうと思ったが、悪魔に何かを求めるのは些か危険に思われたので辞めておいた。我ながら賢明な判断だったと思う。
P.S.どうやら、ゾンビのアッシュが俺の事を他の怪物に言い触らしたらしい。それが、悪魔の女の子が俺の名を最初から知っていた絡繰りだった。
To be continue...
__この様に、既知の怪物の紹介で初対面の怪物が部屋を訪れて来る事もあります。逆に、貴方から他の怪物への紹介を頼む事も可能です。
→次話「#4 テオ・マリーシュカ編」
- Re: グランギニョルの舞台裏/ルネコの備忘録 ( No.12 )
- 日時: 2025/07/20 10:44
- 名前: ルネコ (ID: 8JrAMFre)
▼ ルネコの備忘録#4_テオ・マリーシュカ編 ▼
悪魔達との一幕から、薄れていた警戒心が復活したのは良い事なのだろうか。
ともあれ人間をただ食べるのではなく、獲物を玩具にして遊ぶ事を目的とする怪物が最もたちが悪いというのは理解できた。そういう意味では、先日出会った継ぎ接ぎの彼の様な怪物の方が幾分マシと思える。
突如、力加減を誤ったノックが部屋の静寂を破った。あんな事があった後だ、素直に扉を開ける訳がない。恐る恐る扉へ近づき、愚問であるとは承知の上で、お前は誰だとドア越しに問うてみた。”__怪物、テオ”響いて来た低い声は確かに恐ろしかったが、同時に穏やかにも聞こえた。怪物と自分から申し出る辺り、馬鹿正直なタイプなのだろうか。
何しに来た、と問いを重ねれば”……?オマエを、食べに来タ”矢張り俺の推測は間違っていなかった。そんな事を言われて扉を開ける奴がいるか。絶対にお断りだ、俺を食べる気ならこの扉は開けない__そう強気に言い放てたのは、扉の向こうの怪物がぼんやりとした雰囲気を纏っていたからか、ドラゴンの彼が誂えてくれた鉄扉のお陰か。
”食べられるノガ、嫌ナノカ?”この返答には思わず呆れて笑ってしまった。当たり前だ、とはっきり言い切ると”……嫌カ。ナラしょうがナイ”重厚な足音が、廊下へと遠ざかっていく。助かった、と胸を撫で下ろした。
- Re: グランギニョルの舞台裏/ルネコの備忘録 ( No.13 )
- 日時: 2025/08/05 11:15
- 名前: ルネコ (ID: zwFbxykG)
その翌日、俺の部屋を訪れた怪物は、丁寧なノックの後によく通る美しい声で呼びかけてきた。その女性の声曰く、ジェイドの紹介で来たらしい。優しさの権化の様な彼からの紹介ならばと、俺はゆっくり扉を開けた。
瞬間、ふわりと漂ったのは甘く爽やかなベルガモットに似た香り。扉の向こうで待ち構えているのが、ジェイドの名を勝手に騙った性悪な怪物であるという可能性も勿論大いにあった。けれど今回は、幸運にもそうはならなかった。
視界に飛び込んできた彼女の姿はさほど人間離れしていなかったが、だからこそ緩やかに微笑む口許から覗く牙が生々しい。”ご機嫌よう、ルネコ。扉を開けてくれて有難う、とても良い仔ね”…モナリザも真っ青の微笑だ。良い仔なんて呼ばれる歳でもないのだが、彼女の流し目は俺から言葉を奪う。そもそも途方もない年月を生きているであろう彼らにとって、人間は皆子どもに等しいのだろうか。取り敢えず彼女を室内へ招き入れ、俺の部屋で一番座り心地の良い椅子へと腰を下ろしてもらった。
他愛もない話を何往復かした後、つい先日出会った継ぎ接ぎの彼の話題を出してみた。すると彼女は驚いた様子で”まあ、運が良かったのね。あの子、あんまりお腹が空いていなかったのかしら”確かに妙に聞き分けが良いとは思ったが、と続けると”自分の欲に素直な子だから、空腹を我慢するのは苦手な筈よ。…にしても勇敢ね、怪物相手にはっきり抗弁するなんて”彼女が視線を窓の外へ遣りながら話題を変えてくれたのは、思いやりと優しさだったのだと後々気が付いた。
俺が助かったって事は、他の誰かが彼に喰われたって事だ。受け止め難い事実を、手放しに喜べるほど人間性は失っていない。
窓辺に咲く黒薔薇が一輪、増えたような気がするのは錯覚だろうか…?
To be continue...
__怪物の目的は様々で、純粋な捕食だけとは限りません。捕食する心算なく部屋を訪れる怪物も存在します。捕食を逃れる為に交渉が有効な場面も散見されます。
→次話「 #5 ウーミン・ヴィンス編 」
- Re: グランギニョルの舞台裏/ルネコの備忘録 ( No.14 )
- 日時: 2025/08/27 10:30
- 名前: ルネコ (ID: SqYHSRj5)
▼ ルネコの備忘録#5_ウーミン・ヴィンス編 ▼
最近は、何となく気分が沈みがちだ。
この屋敷について考えてみればみるほど、謎は深まるばかり。きっとそれは、俺の様な一介の人間風情が解明できる事ではないのだろう。天上に浮かぶ月を眺めながら物思いに耽っていると、何やら騒がしい声が廊下から聞こえてきた。
”やーだー、いま遊ぶのー!”駄々をこねる少女の様な声色に、もしかしたらこの屋敷で初めて俺以外の人間に会えるかも、なんて淡い期待を描いてそっと扉を開けてみた。その隙間から廊下の様子を伺った瞬間、俺の願望は打ち砕かれた。
人が持つ筈のない、くすんだ白い翼。それを大きく背面に広げた少女が、隣に立つ誰かの腕を引っ張っている光景が目に映る。”1時間寝たら遊んでくれるってゆったもん、ぜったいゆったー!”サラサラと流れる金髪をぶんぶん揺らしながら地団駄を踏む少女、あれは天使なのだろうか?にしては薄汚れているが。
一方隣の怪物はうんざりした様子で”…勘弁してよ”と嘆息していた。どういうトリックなのか、暗い灰色の花が彼の肩や手首にいくつか咲いた。
そこで、ふと俺の視線に勘付いた少女が目を輝かせながら俺を指差して”あそぼー!”と声を張り上げた。突然の出来事に戸惑い、対象が違うかもしれないが助けを求めるように花の彼を見つめると”……うん、君に任せた”まさかの丸投げかよ、と愕然とする暇もなく踵を返し立ち去ろうとする彼。
しかし少女がそれを許さず、彼の腕を今まで以上にがっちりと掴み”うー良いこと思いついた!あのね、3人であそぶの!”__こうして、予期せぬ形で怪物2体を部屋に招き入れる事となった。
- Re: グランギニョルの舞台裏/ルネコの備忘録 ( No.15 )
- 日時: 2025/09/14 14:52
- 名前: ルネコ (ID: hxRY1n6u)
…白状しよう、楽しかった。ボロボロの翼の少女__堕天使と後に知ったが__彼女は他の事に興味が向いてさえいれば害意は持たないのだろうし、花の彼は元々捕食にあまり興味がなさそうな印象だ。俺のリクエストに応えて、彼は手のひらからシロツメクサを咲かせてくれた。それで3つ分の花冠を作ってやると、少女は大層喜んでくれた。
お礼にと渡された羽根ペンは、彼女の抜け落ちた翼の一部で作られたものらしく、お守り代わりになるとかならないとか。盲目の怪物から貰った万年筆があるので、羽根ペンは使わずキャビネットに飾っている。それに並べて置いてある花冠は、生花なのにずっと瑞々しさを失わない。きっと花の彼の魔法の力なのだろう。
この2つの思い出の品を眺めれば、陰鬱とした気分も少しは紛らわせる事が出来るようになった。俺は徐々に、この屋敷での生き方を学びつつあるのかもしれない。
To be continue...
__怪物から縁のある品を貰う事は、複数の意味を持ちます。
時にはそれが身を守ってくれる事もあり、また物の稀少度や需要によっては、他の怪物との物々交換や交渉にも使用できます。
→次話「#6 ギンハ・シャルロット編」
- Re: グランギニョルの舞台裏/ルネコの備忘録 ( No.16 )
- 日時: 2025/12/26 14:02
- 名前: ルネコ (ID: s/RKTKvj)
▼ ルネコの備忘録#6_ギンハ・シャルロット編 ▼
日々自室に閉じこもり息を潜めていると、その分退屈が際立って仕方がない。
一度賑やかな楽しさを知ってしまえば、無聊もひとしおだ。死の危険と常に隣り合わせのこの屋敷、もちろん自分の命は惜しい。ゆえに部屋で大人しくし続けていたが、このままでは誰かに喰われる前に暇に押し潰されてしまう。
だから俺は、心優しい怪物の忠告を無視して、一人で部屋を出てしまったんだ。
何度目かの曲がり角を超えた頃、そろそろ自分がどちらから来たのかもあやふやになってきた。
流石にまずいと恐怖を覚え始め、後ろを振り向きながら進んでいると、背の高い誰かにぶつかった。”__無礼な鼻垂れ小僧めが。吾(あ)の羽織を穢す気かえ”頭上から降ってきた鋭い声にそちらを見上げれば、神々しいという表現がしっくりくる怪物が、厳めしい表情で俺を見下ろしていた。その射貫くような眼光に、ああ殺される、と反射的に思った。
背後でゆらめいているいくつもの豊かな尻尾に見惚れている場合ではないと、俺は切実に謝罪を紡いだ。直後、彼の白く輝く毛並みがあまりに綺麗なものだから、その旨を半ば無意識に呟いていた。すると、先ほどまで気難しそうだった彼の雰囲気が僅かに和らぎ”…もうよいわ。去ね、小僧”それだけ言い残して、九つの尾を持つ彼は俺を害することなく立ち去って行ってしまった。
彼が心からの褒め言葉に極端に弱いのだとこの時は気が付けず、自分の帰り道を尋ね忘れた事をただ悔いた。
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