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ルーシー「触らせてくれるの？そう言うならちょっと触ってみたいかも......後でね」
アランが奥に消えていくのを見送りつつ、トルスのセールストークに少し驚いたように目を瞬いて
口を尖らせ、慌てて付け加える。赤いおかっぱの髪に明るく輝く瞳が見えた気がして、香蘭のいる
ケージに思わず目をやっていたのだが、さり気なく店員が目隠しになりそうなところに立っており
その姿はよく見えない。ルーシーにはトルスがケージの中を確認して、売り物のペットの体調が悪
くないか見ているように見えた。

ルーシー「思ったより小さいなぁ、同じクラスの子が見たらかわいいって言いそう」
トルスが香蘭の面倒を見ている間に、ルーシーは香蘭のいる奥のケージに向かって歩みを進める。
犬っこみたいな大きさなのに、その瞳には厳しい光を湛えている狼や、街のペットショップに売っ
ていそうな毛並みのいい黒猫、あまり見たことのない小さな豆狸......を、ゆっくりとした足並みで
近寄って見てみた。どの子も見た目が可愛らしく、癒しになるであろうことは間違いない。

ルーシー「お猿さんだ」
ルーシーが他の仔を見ている間に店員は横にハケてくれていて、奥にいたそれがよく見えた。
さっきは赤い......いや何でもない、と首を振って否定し、ガラスケースの前に近寄ってしゃ
がむとその姿をよく見てみた。くりくりとした瞳が愛らしい茶色い子猿がそこにいて、興味
を示したルーシーはちょんとガラスケースに薬指を当ててみる。