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「あ、サイファーさん」
　女性は後ろから誰か男の声が聞こえ、一度歩みを止めて振り向いた。声の主は二十代後半ほどの男で、深緑の髪を荒く靡(なび)かせて彼女の許へと駆け寄ってくる。セシリアと呼ばれた女性は彼を知っていたのか、彼の名前を口にして嬉しそうに口許に笑みを浮かべた。
「はいっ。お腹すいちゃったので……あ、っ……」
　サイファーが自分の隣に来るとセシリアは再び歩き出した。彼と共に向かいながら、彼から投げ掛けられた問いに答える。すると、ちょうどタイミング良く彼女の腹の虫が小さく鳴ってセシリアは顔を赤くする。長い髪の隙間から赤い耳が覗いていた。



琉季さん
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