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　【プロローグ】

　《ぱそこんちゃん。》
　
　時代は少し未来のこと。

　ある日、いつも使うパソコンのアプリを開くと画面が固まる。なんだなんだと暫く待っているが動かない。
　段々とイライラしているのか開けとカチカチそのアイコンを連打していると突然けたたましい警告音が耳をつんざく。近所迷惑にはなっていないか、そのような考えより反射的に耳を塞ぎ、目までも閉じて第一番に身の安全を本能的に図る。
　暫くし、耳をすませると音は消えたようだ。目を開けパソコンの画面へ視線を移すとそこにはいつもながらの変わらない映像が映し出されていた。なんだったんだあれはと頭の片隅に置き作業を始める。タイピングをし、手を休めている。ぐぐっと腕を空に伸ばしているとふと、画面上の"何か"に目が行く。

　そこにはもちろん自分が打った文章がある。だが明らかに自分ではない文字が書いてある。

　　　　　　　　　　　　　　　　　『こんちには＿』

　ただそれだけの言葉だったが、急に怖くなってくる。先ほどのことと関係あるのかと一瞬思ったが、不愉快なので取り敢えず消そうとキーを押すと、押しても押しても言うことが効かない。焦りっている中、カーソルが移動し

　　『学習しました。今度は驚かせないように言います。貴方に会いに行きますと＿』

　何のことだ？

　頭を傾げているとパソコンの画面には突然ドアップの美少女の写真が映し出されていた。　驚きで椅子から飛び上がって驚いている途中に、その写真は動画なのか口元が動きだしはじめて　

　『貴方のパソコンは私が乗っ取りましたので、ご挨拶をしようと…私はですね。ウイルス件、人間で…』

　新手の詐欺か?　
　お金請求されても何もしなければ彼方も何もしてこないと以前耳にしたので動画に出ている彼女の音声そっち抜けでそのウィンドウを閉じようとマウス動かす。今は辛うじてカーソルは動くようだ。急いで気味悪い詐欺動画を消そうと右上の×ボタンをカーソルに合わせようとすると
　
　『…っと、まだ話の途中です。話を聞いて下さい。』
　　　
　ムスッとした顔でこちらを見ている。私が×ボタンを押そうとしているのがバレたようでドアップだったが、引いて彼女の姿が見える、彼女が不意に手を振りかざすとマウスの動きに反してカーソルが×ボタンへ遠ざかる。カーソルは私ではなく彼女の言うことを聞いているようだ。


　　漸く理解した。このパソコンはもう本来のパソコンではないことを。そしてこれから普通の生活が出来なくなることを。