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茜空様
「上からだな」
　零士は彼女の上からな物言いに内心あきれ短く言葉に出す。それでも不快そうな様子はないため気に障ってはいないのだろう。行くぞ、と再び声を出して歩き出した。
　右手に持った傘は、彼の意思によって常に完全に少女を雨水から守れるように傾いていた。たださっきのように自分が濡れて、それを指摘されることのないように彼女との距離をわずかだが縮めている。もちろん嫌がられれば先ほどのように自分の服を濡らして歩くつもりで、ちらりと彼女の様子をうかがう。