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茜空様
「……海藤零士」
　傍らから女独特の高く綺麗な笑い声が聞こえてそちらへ目を移す。笑われて不思議と不快感はなく、零士は彼女の楽しそうな様子に少し心を浮わつかせた。彼女から名前を問われて、どうせ短い間なのだから名乗る必要はないため少し間が空くが素直に自分の名前だけを短く告げた。

エヴァミリ
「……血糊か、それ」
　赤い服をそのままに、何とでもない様子で歩いてくる女に零士は少し身構える。このまま何も言わず彼女とすれ違うのを待てばいいのだが、どうせあの服ではいつかは声をかけられるだろう。
　ハロウィンはまだ先だとは思いながらも、零士は口を開いて問いを投げ掛けた。返答が返ってくるのに期待などしていず、無視されるならそれでも構わないと思い女のマスクから少し覗く目を見つめる。