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>>466
杏子「え！？ あ、(お、落ち込んでる…･･！？)」
まるで小動物のような落ち込みを見せる彼に、杏子はあたふたと慌てた様子を見せる。
まさか落ち込まれるとは思ってもいなかったのだ。それも小動物のように可愛らしく。せっかく巡り会えた、少々大げさな気もするが命の恩人のような相手を落ち込ませてしまった事への申し訳なさと、何故そんなに手をつなぎたがるのかという疑問が交錯する。

「あ、あぁ、いやっ、そうじゃなくてですね！ え、えっとその、よ、汚れちゃってるし……というか、つ、繋がなくてもはぐれるような年じゃない、です！」
何を言っているんだろう自分は。頭は何故か上手く回らず、相手を傷つけるつもりはなかったということを言いたいのに、妙なことを口走ってしまう。子供扱いをされているのだろうかと感じたのも確かだが。


来璃「……」
彼の発言を受け、今まで半開きだった目を僅かに大きく開く。
まさか、本当に人間でないとは思いもよらなかった。実は人ならざるものだった、というのは昔からよくあることだが、未だに慣れない上に区別がつけられない。

「……んむ……そう、デスカ……」
かと言って、彼女の態度は変化しなかった。ぼんやりとした視線で彼を捉えながら、彼女もまた「しょうがないな」と上から目線にものを言いたげにのんびりとした動作で、促されるまま社に入る。
正直あまり気乗りはしない。だがここで断るとまた彼のため息が増えるのだろう。何となくそんな気がした。まるで彼のことを昔から知っているかのように、至極当然のようにそう思っていた。