15歳以上向け小説投稿サイト「大人小説☆カキコ」。超本格派から秘め事・過激な小説まで！

>>470

杏子「う、」
確かにそうだけれど、と思いながらも、何故彼にまだ成人していないことがバレているのだろうかという疑問も浮かぶ。そこまで子供っぽいだろうか。というより相手だってほとんど同い年に見えるのに、どうしてここまで上からというか、子供扱いをされている風な態度を取られなければならないのだろうか。気に留めなくていいはずなのに、何故か腹立たしく思えてくる。
けれど、先程から色々と引っかかる部分もあるが、全てが自分の考えすぎのようにも思える。初めて見た、初めて来た人物や場所に既視感を覚えてしまうのは無い話ではないし、腹立たしいのもきっと、彼にどこか懐かしさを感じ取っているからかもしれない。

「……ぁ、ま、待ってまーちゃんっ！！ ……！？」
だからといって、先に行ってしまった相手に突然反射的にあだ名のようなものを叫んでしまうのは、さすがに自分でもおかしいと思う。しかもそれに気づいたのは、呼んでしまった数秒後であった。


来璃「はーい……」
間延びした返事をしながらひらひらと片手を振って相手が台所へ行くのを見送ると、縁側に素直に座る、はずもなく、相手が移動した数十秒ほど後に、彼女は廊下へ出て社内を見回り始めた。
初めて入ったはずだが、何故かどこを見ても懐かしい感じがする。加えて構造も何となくだが想像できた。例えばこの廊下の先には一つ部屋が……本当にあった。そしてこの柱には身長を計ったような傷が、ある。

「……アレ……」
何故、ここまで詳しい想像ができるのだろうか。来たことはない筈だ。けれどあまりにも鮮明に、そして詳細な想像ができてしまう。台所の前まで来たとき、こっそりと彼の背後に回り込み、驚かしたいような気持ちに駆られたのも何故か懐かしい。
本当に脅かしてやろうか。そう思いながらこっそり立ち入ると、彼の呟きが聞こえてしまった。