大人なりきり掲示板

Re: 【BL.NL】神と交わした約束を【指名制.募集中】 ( No.528 )
日時: 2018/02/07 04:18
名前: 枢木 ◆qPaH7fagTg (ID: mbAUzuHW)

>>510

杏子「は……は、お、大袈裟、でしょ……」
ピタリと歩みが止まる。いや、止まらざるを得なかった。冗談だと思いたかった。ただ、ただ彼が話を誇張しているだけなのだと。何故そう思いたいのかは分からない。むしろ嬉しかった。喜ぶべきだとも思うのだが、それでもどこかでこれが夢であってほしいと、自分の妄想であってほしいと願う自分がいた。それなのに、彼の声、仕草、表情、雰囲気、全てがそう思うことを許さなかった。
触れられた箇所から熱を帯びていく。それは頬から瞬く間に顔全体に広がっていき、今にも湯気が出てしまいそうなほど熱くなった。きっと今自分は茹で蛸のように真っ赤に違いない。

「そ、んなこと、……こん、な……道端で、言わない、でよ……」
思わず目をそらす。これ以上彼を見ているとどうにかなってしまいそうな予感がした。甘く優しい言葉は、その場にへたりこんでしまいそうなほど力を抜けさせる。
嬉しい。本当に嬉しいのだ。彼に愛しいと言ってもらえることは、未だかつてないほどの喜びのような気がした。だがやはり、思考は許してくれない。素直に感情を出すことができない。早く行きましょう、と顔も合わせずに彼の手を引けば、素直でない自分に少々自己嫌悪になった。


来璃「……うん、いいよ、春ちゃん」
そう答えながら彼の頭を撫で続ける。肩に顔を埋められればすり、と頬を寄せて、彼女もまた彼を抱きしめ返した。時折触れる彼の髪はどうにもくすぐったくて、僅かに身を震わせながら小さく「ん、」と声を漏らす。しかしそのくすぐったさが心地よく感じられる。

「……春ちゃんとなら、私、ずっと一緒にいたい」
彼の肩に顔を埋めるように、また彼を抱きしめる。春を呼ぶ神であるからだろうか、伝わってくる体温は暖かい。
今日はいつになく素直だ。じわりと染み込んでくる涙から、彼の言葉は偽りのないものであることが窺える。彼女の言葉もまた本音だった。いつまでも彼の隣にいられたなら、どれほど楽しいだろう。いつまでも彼の隣で歩けたなら、どれほど幸せだろう。春ちゃん、とまた愛おしそうに彼の名前を呼べば、僅かに胸の鼓動が早くなるのを感じた。