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嬉しそうで泣きそうな儚い表情で神様は言った。此処に来て遊んだ、と
そんな記憶など無い、筈なのに…頭がガンガンと痛み出す。痛い、痛い、痛い
思い出せと言葉が記憶の蓋を無理矢理こじ開けてくる。思わず頭を抑えてしまう
神様に失礼だ、こんなの。だが痛みはそれでも容赦なく続き遂には目を強く強く
瞑ってしまった。痛みのあまりに歯の奥がガチガチとなる、こんな気味の悪い姿
神様に見せてはならない。急いで背を向けようとしたその瞬間、何かが弾けた
｢何か｣否｢記憶｣が、だ。痛みから解放されると共に溢れ返る昔の記憶。きゃはは
と甲高い笑い声と共に駆け出すは幼い自分と……神様？別の記憶へと反転する
次の記憶は夕暮れの下で幼い俺と神様が指切りをしている。約束？思い出せない
何か約束した、それは覚えているのだが何故か思い出せないどうしてだろうか
最後の別れみたいに小さい俺は泣きそうになっていた、幼い口から出るのは相手
の名前。神様の名前…………｢音｣？……そうだ、｢音｣だ！名前を思い出した瞬間に
溢れる喜び。昔｢おと｣って呼んで、おとは俺のことを｢そら｣って呼んでいた
…？でも、俺の名前は｢くう｣の筈だ。なんでだっけ？思い出せなくて歯痒くなる
取り敢えず、返事をしないと

｢音…だよな？…思い出した、昔遊んだよな……………忘れてて、ごめん…｣

こぼれ出すのは歓喜を含んだテノールの声、だがその声も段々申し訳なさそうな
小さい声になっていく。キリッとなっていた眉もへにょんと情けなく下がって
目線も無意識に下に向いている