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>>77

こちらに向けられた顔はなかなか面白い。間抜けな声と出かかった言葉から（ハニーって呼ぼうとしたのかしら？）なんてことを予想すれば、ダーリンと呼べばよかったと少し後悔をする。けれど今からでも遅くないと、相手にとっては気分的に冗談では済まなさそうな事を思えば、こちらの問に穏やかな声音で答えを返す相手にニッコリと笑って。

友愛「そう、それなら良かったわ。でもあんまり早く来るのは良してちょうだいね？ダーリンが一人でいたら逆ナンされちゃうもの」

わざとダーリンの部分を強調をして言う辺り人が悪い。声音は明らかに相手の反応を楽しんでおり、クスクスという笑い声さえも漏らしてしまう。緩やかに巻かれた髪を弄っていた手は背中に回され、「今日は何処にエスコートしてくれるのかしら」と先程とはまた違う、どちらかと言えば試すような声音で言えば軽く横に首を傾げた。

周りの視線は仕方が無いだろう。声をかけるようなファンが居ないとは限らないので、それが当然だと言わんばかりの顔で詠斗の隣へと移動をする。腕を組んだり手を繋いだりしないのは彼女なりの配慮なのかもしれない。（さて、どう行動してくるかしら？）なんてこの状況を楽しむようなことを思えば、相手の顔を見るために落としていた視線をゆっくりと上げ。