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鞠羅

　月影のように口元に指を宛て考え込む。
如月の言う、『楽しい』とは果たしてどういうことだろうか。
女……遊び？　そういうのに自分は興味と言うより関心もなく。
それだから如月は進めてきたのだろうか、良い迷惑だ。
アイツはここにそれなりの頻度で来ているようだから楽しい、のだろうが。
　それにしても誰を指名すれば良いのだろう。展開はまるで進まない。
誰がいるかも分からない。目の前の君もやけに魅力的なのだろう。
考え込んでも仕方ない、知らない場所へ踏み込んだのだから。
そう割り切ると、

　「この店のしすてむをあまり理解してない。
一旦君を指名してそれを理解しておきたい、それでも構わないか？」



如月
　「おきつねさまなんて照れるね、確か君は海ちゃんだったかな。
夜桜さんと話してるとたまに名前が出てくるんだけど本当に可愛いや。
それじゃ獅斗さんお先に失礼します」

　そう言って満更でもなさそうな顔をして店の中へ。
おきつねさま、なんて如月の見た目と良い中身と良いぴったりだ。
でも這入る時の顔は本気だったようにも見えるが……まさかな。
　さて、ここはどうやらそのような店らしいが、俺には分からん世界。
目の前の海、という子にどうされます？　と聞かれた。
帰っても良いだろうが如月に何か言われそうだし、ここで帰ると申し訳ない。
とはいえ、ここに誰がいるとかそんなもんは分からない。
　そう考えると一番の選択はこれだろうと踏んだのである。

獅斗
　「俺はこういう店には詳しく無くてな……一先ず君でも良いか？」