大人なりきり掲示板
- Re: 【練習】中文・長文なり【募集中】 ( No.16 )
- 日時: 2018/08/01 15:43
- 名前: 雛風 ◆iHzSirMTQE (ID: qXcl.o9e)
了解ですっ(。・ω・。)ゞ
ちょっと確定ロル気味になってしまう……orz
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夏のセミが絶えず、うるさく自己主張し耳を劈(つんざ)く。太陽は眼下の人間など無視して、元気に自身の熱を注いでいた。制服に身を包んだ子やスーツを着込んだ人達が「あつい」と気だるげに口癖のように呟き横を通り遠くへ消えていく。
少年はそんな光景を尻目に、木陰で涼んでいた。十七歳くらいだろうか、細身だが筋肉は程よくあり、黒い目を持ち無表情を顔に付けている。先ほど通っていった子達と同じような制服を着ていたが、ネクタイは着けていず、制服は着崩している。
彼は毎朝、隣に住んでいる幼馴染の少女と一緒に登校するために彼女の家の前で待っていた。少女と彼の家の前には道路沿いに木があり、自身の葉を大きく伸ばして広い木陰を作っている。彼女の家の前で待つときは、この木陰の下で涼むのが少年の夏の習慣だった。
ときおり来る風が少年の黒い髪を揺らす。まだ朝の静けさが残っているのか、自転車のベルの音や車の走行音がやけに大きく聞こえる。しばらく幼馴染が出てくるのを待っていたが、なかなか出てこず少年は道路から彼女の家へと目を移す。その顔は相変わらずの仏頂面だったが、別段イライラしている様子は見られない。いつもなら出てきてもいい時間帯だったからか、不思議に思っているらしい。
しばらく静けさが風だけを誇張していたが、玄関から音がした。勢いよく扉を開き、少女が出てきた。少年と同い年くらいだろうか、制服は彼と同じように、だがだらしなくならない程度に着崩されている。焦げ茶色の緩く巻かれた長い髪は彼女の動きに応じて忙しなく揺れている。
「朝から騒がしいな」
昌介と呼ばれた少年は木陰から出て、からかうようにして言い彼女に近づく。口角がわずかに上がり、少し仏頂面が崩れて笑みを浮かべていた。笑った、とはいえ人をからかう笑みなのでそんなに良いものではないが。
近づいた先で下に見える彼女の頭へ大きな手を伸ばし、わしゃわしゃと撫でる。男らしく少し力があるが、強すぎず、どこか優しさを感じさせる。
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