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>>78

相手が自分にドキッとしているなんて事は、勿論彼女は露知らず。穏やかにうんうんと相槌を打ちながら聞くと隣町というワードに花開く様にぱぁと笑い

｢あら、隣町から…それは良いですね、ですがさぞ遠い事でしたでしょう｣

薄桃色に明るんだ白い頬に手を置きまだ見ぬ隣町というものを思い浮かべ、少し羨ましそうにそう言えば冗談交じりにいつか私も行きたいなんて言ってみる。聡明だが危機感の無い彼女はこの世界を探求したいと思っており、隣町に非常に興味を持っていたのだ。すると突然相手が戸惑った様な表情をするのでどうしたのだろうと思い眉を八の字にして心配そうな顔を浮かべる。だが相手は思いの外、彼女にとってどうでも良いことを聞いてきた

｢ええ、そうなんです。よく知っていますのね…私、有名になったのかしら｣

ふふ、と笑いながら平然に応える彼女はどこか呑気で拍子抜けしてしまうぐらいだった。もしかしたら他の殿方も知っているのかしら、他の素敵なお嬢様方も私の事をご存知なのかしら。彼女は穏やかに笑い続ける