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>>29

「えー、そんなことないよ。耳とか尻尾ってふわふわだって言うじゃん？もふもふし放題とか、それってかなり甘美な言葉だと思うけど」

むすーっと頬を膨らませて相手の尻尾をじっと見るも、流石に無遠慮に飛びかかるほど馬鹿ではないのか、すぐに視線をそらしてから頬をしぼめる。続いた相手の言葉には少しだけ意外そうな顔をしたが、すぐに笑えば「それは無いね」と自信ありげに言ってからゆるりと目を細める辺り、本心からの言葉なのであろう。

距離を縮めた後にちょっと強引だったかなと相手の様子を見て思いはしたが、向けられた笑みが先程とは違うものだったのでピシリと動きを止めてしまう。けれどすぐに動き出して自分から一歩後ろへと引きつつ、相手からの問いに答えるべく口を開いて。

「んー、確かにそれもあるんだけど、君の事が知りたいからっていう思いの方が強いかな？」