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>>31

「えー、自給自足出来るんだからイイと思うんだけどなー。……ちょっと、僕だってそこまで馬鹿じゃないからね？飛びかかったりしないから安心してよ」

顔を顰められて不服そうに腰に手を当てていたが、相手が尻尾を背中に隠したのに何を考えたのか察したのか、呆れ半分の声音でそう言って視線を逸らす。自分の言葉にほんの少しだけ自信が持てなかったのかもしれない。

ぐぅっと、小さなお腹の音が聞こえて浅見は眉を寄せる。いつもよりもお腹をすくのが早いなと、そう思いつつポケットから棒付きの飴玉を取り出してから、器用に片手で包み紙を剥がして口に含んだ。コロコロと口の中で転がして味を確かめれば、「ん、苺だ」と小さな声音で嬉しそうに言って。

「ん、ちかげ……ちかげ、ね。 うん、頭の片隅じゃなくて真ん中にでも入れておくよ。 そうだ、良かったらどう書くかも教えてくれないかな？僕名前覚えるの苦手でさ。漢字もわかってた方が、覚えやすいと思うし」

名前を教えられて一瞬止まるも、すぐにぱっと顔を輝かせれば教えられた名前を復唱する。喋りにくいからか飴は片手に握られており、それをふらふらと揺らしつつも問いかければ、自分が思う可愛らしさを最大限に引き出したウィンクをしてみて。