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>リアラ・ルミナリス

窓から見える景色は炎の紅と敵の飛行船。
おそらく領民とほとんどの兵達は逃げおおせた事だろう。
着陸を終えた忌々しい飛行船を見つめ、リアラは会議室の指令席に腰を下ろした。
領民達は逃げきれただろうか。追撃されたりしていないだろうか。もっと的確な判断が出来れば降伏などせずにすんだのではないだろうか。
「こんな事を思っても仕方がないわね」
騒がしい足音。おそらく敵は兵の少なさに驚いているだろう。
少しでも多くの民を生きながらえさす。それが今出来る唯一の王族の仕事である。
叩きつるように開け放たれた会議室の扉を見つめ言葉を放つ。
「私、ユグドの第三王女リアラ・ルミナリスは、今この場をもってマキナに降伏いたします」
すっと席を立ち、ドレスの裾を摘まみ、恭しく頭を下げる。
たとえここで降伏しても王族としての心までは降伏しない。凛々しい仕草にはそれが表れていた。