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>棺月蓮

素直な、だがどこか寂しげな返事に後ろ髪が引かれる。
そんな残念そうな声を出さないで欲しい。罪悪感を感じてしまう。
自身のクローゼットから着替えとタオルを取り出し、蓮はシャワールームへと急いだ。
ルーム内に入ると扉を閉め寄りかかる。
「…っとに、少しは意識しろよ。馬鹿…」
瞳を閉じ天を煽り、一言溢した。

>メイベル・フロウド

後ろからリカの視線を感じる。
だが振り向くような行動はせず、前を見て歩を進めていく。
「なんだ」
時折廊下を歩くメイドや騎士、従者や商人がメイベルへ深々と頭を下げる最中、それらを横目にリカへ声をかける。
物心つく頃から慣れた生活。窮屈な城内の人間関係。それらに溜め息を溢しそうになるが、それをしては王族としての品位が削がれる。
弱さは見せない。隙も与えはしない。ただ一人の例外を抜かせば。