ちらりと横目に雪野君を見ると、いつも通り静かに本を読んでいた。こっちの気も知らないで、と自分のことを棚に上げて思えば面倒くさいという感情が出てくる。本当に、面倒だ。何で一度しか会ったことがない人に向かって色々悩まなければならないのか、面倒くさい。面倒過ぎて、頭が痛くなる。片腕で頭を囲う様に回せば、ひっそりと隠れる様に目を伏せた(俺、熱あるんかな。人なんて、面倒いだけなのに)