>>11杏「橘くん、言っても歌ってくれないじゃない?」 苦笑を浮かべながらも首を小さく傾げた杏は、どこか仕方なさげな声音でそう言って相手の瞳を見る。嫌がる生徒に無理やり歌わせるほど杏は鬼でもなければ悪魔でもない。この子が嫌ならそれはそれで良いだろうと、そう思いながらも浮かべた笑みをいつもの優しげなものに変えれば、「ほら、四限に遅れちゃうよ」と退出を促して。