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>>219

何か頂戴と言われても、あげるのは残った油揚げしかかいのだが。
そう彩乃が思うと、彼は予想以上に真面目に考えていた。
その様子から当てる気満々という事が一目で分かる。
暫くすると声を漏らしたので、答えるかと耳を傾ける。

「いなり寿司……あ、それ、良いかも……」

彼の答えに彩乃は残った油揚げはそれで誤魔化せるかと思い、呟いた。
三狸には正解か不正解かを伝えていないが、そんな事を忘れて少し炊いていたご飯を手早く酢飯に仕上げていく。
そして、油揚げに味を付けるとその中に詰めていった。

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やはり彼女は死体漁りと言った。その事実に驚愕したが、その後に続けられた『人間ではない』という返答にまたも目を見開く。
人間ではなく、彼女は妖怪と言った。やはりそうだったかと思うが、本当に存在していた事に驚いた。
優樹は基本そういう類いは信じない、信じられないのだが彼女を見れば信じるしかない。
最初は若者の悪戯かと思ったが、こんな本格的な悪戯をするだろうかと考えたので信じることにした。

「あ、いや……最初は人間かと思ったけど……もう妖怪にしか見えないよ」

彼女からの質問に優樹は躊躇いがちに答えた。
怖いとは思ったが、何故か彼女に興味がある。もっと知りたい。
なので、優樹は逃げることはしなかった。


>>221

館を出るとクリスは人間が食べられそうな物を森から探す。
いや、人里に出ても良いのだが生憎クリスは人里が苦手だ。
人間の血は好きだが、何だかあの雰囲気には慣れない。

「……雑草とか、木の実で良いのだろうか」

一応食べられる雑草や木の実は知っているが、黒羽が食べてくれるかは微妙だったため
川に行って魚を捕ることにした。