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「帝国、か。何の用だ、其処に行くのは叶わぬぞ。」

道に迷った経緯を聞き帝国を探している、と云うような言葉に少しばかり口調がキツいものと変わる。
此方が帝国には辿り着けない、と伝えようとしているとアタシの顔を見るなり彼の様子が変わり、アタシの嘗ての名を呼ばれる。

「…！何故、あ…否、リネル…？今リネルと言ったのか？然し、その様な名は知らぬ。アタシの名は…ヴェネッサ。貴方の目指していると云う帝国の女帝を務めている。故に易々と帝国には徹せない。」

何故、アタシの本名を知っている？アタシと彼は会ったことがあるだろうか？と疑問が生じ、危うく問い質そうと言いかけたが本名は明かしてはならない、飽くまで女帝として在れ。と言い付けられてきた為、代わりに彼が目指している帝国の女帝だと明かしては引き返して貰おうと会話で解決しようとするが内心は戸惑いが隠せないでいた。