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「っ…え、えぇ…そうよ。」

何故この方は肩を落とすまで残念がるのだろうか、と疑問でならなかった。
アタシには何故かすっぽりと記憶が消えている時期があるのだ。
エルフの女性は基本的男性と違って歳をとっても変わらない、と云っても過言では無い。若し、彼に会っているのであれば永くは誤魔化せないだろう。
然し、人族の街に憧れ図書館に行ったことがある、其処で偶然にも何処か彼に似ている子を見たような、そんな記憶が頭の隅の脳裏に浮かぶ。
だが、それ以降は＿。彼との関係性に何かがあるような気がして無理に思い出そうとすれば頭痛がしてきて眉を潜める。

「！……其は何故だ？。其はそうとて、此方にも民を護る立場上簡単にはな……」

帝国には徹せない。と話せば其を聞いた彼の必死な様子に此方も困惑した表情になる。暫く見定める様に、時折周りの様子を窺いつつじっと彼の眼を見詰める。

「…判った。良いだろう、だが我が帝国の民の平穏が崩れると思わしき言動をしない条件を呑んで貰う。」

彼を徹しても問題は無いと判断して条件付きで徹してやると了承する。
何より、森の様子からしてどうやら異常の元凶は彼では無い気がするのだ。結界が薄れていたのだからもしかすると他の侵入者もいる筈だと云う事もあっての考えからだった。