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>>350

彼女が『その前に』と口を開いたのでグザリフは首を傾げながらも彼女の様子を窺う。
すると、何やら彼女は呪文を唱え始めた。
最初は驚いたが、すぐにその呪文が結界を張るためだという事を理解したので何も言わず待っていた。
暫くすると彼女が此方に向き直り『後に続け』と言われたので、喜んでと頷いた。
それと同時に怖い感じの事を言われたが、悪さをするつもりはないので分かったと頷く。

「それが……俺、実はまだ一人前の魔導師ではないんです。それで、一人前になるための準備でヴェネッサ様の帝国を訪れて来いと命じられたんです。……名前ですか？俺はグザリフ・レコンドです」

問われた事に一つ一つ答えると、グザリフは笑みを浮かべる。
その問い掛けは彼女の探求心からという事は気付いていないみたいだ。


>>351

「俺はその辺の動物の血でも生きていけるしな。でも、人間は身体が弱ると命を脅かされるのだろう？なら、俺が配慮するのが良いだろう」

黒羽の質問にクリスは淡々と答えた。
クリスが吸う血は生きている生き物のものならば何でも良いのだ。
人間に拘っているのはただ美味しいから。
だから、あまり黒羽の血に拘る必要はない。