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「…ﾌｯ。そうか、アタシも貴方の様な者に逢えて嬉しいぞ。傍に居る者と為れば、近くに居なければならないな、侍女が使用している部屋とは違う片側の空いている、アタシの部屋の隣室をグザリフの部屋として割り当てようぞ。」

彼の嬉しいと云うような感情が言葉から感じとれ、此方まで嬉しく思い静にｸｽﾘと笑みを浮かべる。その思いをグザリフとは再会なのだと思わずヴェネッサなりに言葉を紡ぐ。

歩き続け、時間が経過し帝国らしい都市が目前に見えてくる。
その手前に結界に依る遮りがあり、その場に留まり振り向く。
「…この先、アタシが統べる帝国だ。此処から先では人族との時間の差が大幅に生じる。故に此処で過ごした日々はそちらの国に戻れば其ほどの日数は経過していない、その事をよく理解しておいてもらいたい。」
其処で初めて自分が完全なるエルフ族である事を、纏めて前に流していた長い触覚を退ける様に耳に掛けて特徴的である長く尖った耳を彼の前に晒し、明かしては丁寧に説明する。