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甘い匂いがキッチンを満たす。フライパンの上にはとろりと垂らされたミックス液が熱によって固形物化していて、何とも美味しそうなものに変わって行く。それを上機嫌に鼻歌を歌いながら皿を出したりすると、腰のエプロンの紐が音に合わせてダンスを踊る様にひらひらと舞う。一通り焼き終え、トッピングをどうしようかと思案していると、ふと同棲している彼が頭の片隅に姿を現した。あぁ、その前に起こそう。多分、彼も久し振りの休日で疲れてて一人で起きれない状況だろう。一旦キッチンの電気を消すと、パタパタと黒猫のスリッパで早足に歩く。彼の部屋をそっとノックするものの、やはり返答はない。そおっとドアを開けると、其処には子供の様にすやすやと眠る姿が。もっと寝かしてあげたい、とも思うが生活バランスが崩されるのはなんともいただけない

「英、英。起きて、朝だぞ」

そっと強くない程度に揺さぶりつつ、囁く様に呼ぶ。生活バランスがあぁだこうだとは言ってみたものの、やはり幸せそうに眠る彼を強く起こすことはできなくて。全く、いつの間に俺はこんなにも幼馴染に甘くなってしまったのか