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>>120


　吟さんの心の温かさを感じる眼差しを見て、
言葉を聞いてこちらも心が落ち着くのは、
吟さんが不安になっていないことを感じ取れたからだろうか。
　吟さんにはいつも一の話ばかり聞いてもらっている。
顔だけ出来ていたとしても、一はまだまだ子供で未熟で話すことが下手な子なのだ。
吟さんはいつも一のことを気にしてくれてるのかも、
一は何か吟さんに出来ることはあるのだろうか。
　問われた質問に一瞬、頭が飛ぶ。

「やりたいこと……一がやりたい、こと」

　うわ言のようにそう呟いて、考え込む。
やりたいことが思い付かない、全く思い付かないのだ。
捨てられたことは関係無い。
ただ、ずっとこの世界で生きてきたから。
吟さんはもしかして一の知らないそれ以上の世界があると言うのか。
それとも、吟さんは一がここに居ることを良いと思っていないのか。
　後者ではないこと、吟さんは良い人だからと。
と、質問の意図を考えるのは止めにしたが。
中々、質問の答えは出てこない。したいことなんて思い付かない。