まだ少し暑さが残る季節扇子で扇ぎながらじっと外の花を見ていた。もうここに来て何年になるだろう今夜は知らない人と体を重ねないといけないのかしら……あの人は来てくれないの…?馴染み客になった彼のことを思い浮かべていた。「…ええ、わかったわ」扉越しから華絵に声をかけられ返事をした。唯一赤い色の着いた簪を整えてゆっくり扉を開けて一昨日使った座敷に向かった。