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朔弥「！、平気だ…。」

傷を撫でられ、驚きに肩をﾋﾞｸ、と跳ねさせる。
しまった…、迂闊に解くんじゃなかった。と思いつつ、手を伸ばし傷を撫でてきた相手の顔を見上げると、さっきまでとは打って変わって、何とも恐ろしい程の真顔に少しばかり怯む。
曖昧にだが、今でも辛うじて覚えている。頭の片隅にしまっていた、その時の記憶の片鱗がまざまざと蘇ってきて、複雑な表情で目を伏せる。
痛くない？と訊かれれば、大分前に刻まれた傷なのだが、深傷を負わされたようで、中々消える事なく痕が残ってしまい、痛みは無いと言えば嘘になるが、悟られないよう直ぐ様伏し目から瞼を上げて、瞳を覗かせ”見た目ほどの痛みは無いからこんな傷、難とも無い"の意味も込めて、敢えて短く淡々と答える。