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>>69

彼の笑って言う言葉に内心で思う。
此処に来るまでの間、性の教育をする人間どもの欲望が深かった故だ。
人間の考える事は理解したくない。

「なん…‥！あ、おい。幾ら何でも早すぎやしないか？」
部屋に入り、早速捜索しようとベッド付近まで歩んでいると、彼から呼ばれ『なんだ？』と振り返りざまに押し倒された。
野性の勘に避けようとしたが、遅かった。
しまった、迂闊にベッドに近付くべきでは無かった。
どうやら、危機察知能力が欠けていたらしい。否、部屋に入った時点で、もっと言えば買われて家に入った時から危険だったかもしれない。
然し、其れにしても早い事に少々驚いてしまう。
彼の真意は読めないが、欲を悟る事は出来た。
此れ迄の人間からには、時と場御構い無しに硬質な床や壁に押し付け、時には縛られたりもした。
其の証拠に、まだローブを纏っている内の肌には痣や縄の痕が残っている。
彼が其れを見たらどう思うだろうか。
手荒な扱いを受けてきたが、配慮する相手に意外だと思った。
だが、其の彼に俺は威嚇して牽制しつつ至極冷静に抵抗を試みる。