15歳以上向け小説投稿サイト「大人小説☆カキコ」。超本格派から秘め事・過激な小説まで！

>>70

コロコロと表情が変わるやつだ。些細ながら自分の言葉に一々嬉しそうな反応を示すのを見ると、少しだけだが口角が緩むのを感じた。だが、それと同時に彼が今までどんな扱いを受けてきたのか、ますます考えざるを得ない。俺よりいい人はごまんといるし、俺は周りより冷たい人間だ。だがこいつはそんな自分との会話に喜び、嬉しがっている。その事実に惹かれているのだろうか、僅かながら確かに彼に興味を抱き始めている。それを自分でも感じながらも態度には出さないでいて

「着いたぞ」
アパートの駐車場に車を停めつつそう告げる。ボロくはないが、どこにでもあるようなアパートである。おそらく彼にとって面白みも何も無い。そう思いつつ反応が気になるのか、発言した後にちらっと相手の方を見て

ー

「そうですよ」
それがどうかしたのかと言いたげな声音で答える。それも彼の方へは決して顔を向けず、車窓の外をぼんやりと眺めたまま、だ。どうやら彼のことを完全に気に入り、好いた訳では無いらしい。挨拶をした、名前も聞いた。ならばこちらから他に人間とすることは何もない。強いて言えば自分を買った理由が気になるぐらいだが、どうせ珍しいとかだろうと結論付けており