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当たり前のことを物珍しそうにポツリと呟いた相手は、何か思うところがあるのかアパートを見つめながら何かを考えているようだった。その様子に事情があるのだろうと背景を理解しつつも、やっぱりこいつ、不思議なやつだと思ってしまう。
「ああ、アパートだからな」
相手の呟きにそう言いながら、「車から降りろ」と手振りで伝える。自身も車から降りれば車に鍵を掛け、アパートの方に歩いていく。その際も「着いてこい」と言うように手を振った。そんなことをしなくとも、向こうは俺に着いてきそうではある。車に乗せた時はあまり信用できないと思っていた筈だが、家に着いた時には彼を既に多少なりとも信用し始めていることに気付けば、こんな短時間で彼への印象が変わっていることに内心驚いて

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相手の問いかけに、外を眺めるのをやめて相手の方を見る。質問にはすぐ答えない。質問の意図を探るようにジッと数秒、相手を見つめた。彼が何を考えているかあまり分からず少しだけ困ったような顔をするが、ふいっと顔を逸らし曖昧な答えを返して
「強要はされましたが、多少は待遇が良かったのではないかと思います。他の方々がどういったことをされていたのか、詳しくは知りませんが」
一通りの行為の流れと、人間界特有のプレイのようなものを教えられたのが基本だ。ここに来て初めて大人の玩具なるものを知ったし、アダルトビデオ等が存在するのも知った。悪魔が苦手とするだろうものを無理やり押し付けられたことはあるが痕が残るほどの酷い暴力は無かった、と記憶する。自分は淫魔でも無いし、嫌いな相手と交わる日々は単なる苦痛でしか無かったが。