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自分の部屋は二階の一番奥だ。自分含めた二人以上の足音が外階段を上り、自分の部屋の前までまで歩いてくるのが聞こえる。わざわざ後ろを確認しなくても、ちゃんと彼が着いてきているのだと分かった。服のどこかから鍵を取りだし鍵穴に差し込めば、そのままガチャッと音をたてながら鍵を回す。鍵を抜きつつ普段何気なく見ている表札に目を向ければ、そこには部屋番号に「夢塚」と自分の名字だけが載っていた。いつも通りの見慣れた光景だ。なのに今更どうしてそこに目が行ったのかと疑問に思うも束の間、そういえば相手に名前を聞くのをすっかり忘れていたと思い出して
「どーぞ、上がってけ」
とは言え、このタイミングで突然聞く訳にも行かない。部屋に上げてから名前諸々聞いても良いだろうし、むしろそっちの方がスムーズだろう。そう思いながらドアノブを回せば、彼に向かって中に入るよう促して

ー

「……別にそれくらい良いですけど、なんですか」
内心先程の質問も此方からしたら大概なものだった気がするけれど、また違った角度からの質問だろうか。無理に答えなくても良いのなら何を聞かれても良いと思っていたが、改まってそう聞かれると少し戸惑いが生まれる。と、いうより急に遠慮がちにされると割と反応に困るのだろう。それが少し前面に出たのだろうか、「ぇ」と戸惑いの声を少し漏らしてしまう。だがすぐに「んんっ」と軽く咳払いをするといつも通りの微笑みに平坦な声で応答し