>>14「……ありがとう」 そう小さく言えば促されて中に入る。家の中は相変わらずの見慣れた空間。靴を脱いで綺麗に揃えると、玄間に立ってクロハをじっと見る。 彼も、変わってない。何があって死んで、生き返ったのかさえ知らないのだろう。無知な彼は悲しい程にいつも通りで、少しだけ目を伏せて悲しみを紛らわす。