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　信じてくれる。その言葉に驚いて、耳がピンと立ち目を見開く。疑ったって良かったのに、否定しても良かったのに、彼は一つもそんな様子を見せずに信じてくれた。
　死ぬ間際、恐ろしい程の痛みの中で、最後に思い浮かべたのはクロハだった。這いずってでも彼の元に行きたかった。それほどに自分にとって、彼が大切な存在だった。その彼にこうやって信じてもらえた事に安心しきってしまったのか、目頭が熱くなる。
　泣きそうになったのを誤魔化す為に、一旦猫の姿に戻った。瞬きをする一瞬で戻ると、にゃあと一言鳴いてクロハに擦り寄った。


　>>19
【KIKO様、御参加誠にありがとうございます。登録しましたので、参加オーケーです。初回文も把握しましたので、始めさせてもらいますね】


「(あぁ、これは、夢じゃ無いのですね)」

　頬をつねり、耳を引っ張ってみて気付く。神様と言う青年が言った事が本当だったと。猫から人にもなれるようになったと。
　あの時確かに、溺れて死んだ。増水した川は気味が悪い程に濁り、苦しかった。なのに自分は生きている。生きてこの地に「ソラ」として立っている。
　彼は、彼はいるだろうか。そう思い、気持ちを切り換えて真っ直ぐある場所に向かう。

　とあるバス停でバスを待つ青年を見て、あぁ、と心の中で言う。
　彼は変わらず、此処にいる。
　その事実に嬉しい反面、この事実をどう説明しようか迷いながらも、話し掛けた。

「失礼、鴨先 八重さんですか?」