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　>>38

　突然の、宣言。
　それはあまりに唐突すぎて、あまりに大胆すぎた。驚きのあまり目を見開いて八重を見つめる。涙より驚きが勝ったのだろう。涙は止まっていた。

「……八重?それは一体どういう……」

　そこまで言ってハッとなる。自分は猫で、彼は人。つまり、拾うと言うのは……

「……それは、同じ屋根の下で暮らしても良いという事ですか?」


　>>39

　彼の言葉を聞いて、ようやく完全に安堵したのか、全身の力が急に抜けた。静かに目を閉じれば体は自然に前へ倒れ、地面にぶつかる直前で猫の姿に戻る。他から見れば猫が脱力して伸びているような様子に見えるだろう。頭だけを上げてクロハを見れば、にゃあと一声鳴いて。

　重く感じる体を起こしてクロハの足元に寄れば、普通の猫の様に丸くなる。体に力をうまく入れれなくなっている中、心を包んでいたのは完全な安らぎだった。


　>>40

　さらけ出された感情に軽く目を丸くする。一層強く泣く彼女に、ただ優しく抱きしめて時々優しくポンポンと背中を叩く。
　それだけ、怖かったんだ。それだけ、辛かったんだ。もう、そんな思いをさせたく無い。そんな思いが浮かべば、背中を優しく叩いていた手で相手の頭を優しく撫でる。

「そうか。怖かったのか。
　……もう大丈夫だ。俺がいるから。もう怖くないからな」