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　>>70

　彼の声は、震えていた。
　大丈夫だろうか。そんな事を心の中で呟く。何かから逃げなければいけないから、移り続けては人と別れ、新たに出会い、そして全てを繰り返す。そんなクロハを心配に思ってしまい、今度は自分からそっとクロハの頭を撫でた。
　捨てないで側にいる事を許してくれた。それは嬉しい筈なのに、何故かクロハの様子を見ていたらその嬉しさを表に出せなくて。

　クロハの頭を撫でるのを止めて、クロハの両肩に手を置いて目を合わせる。

「俺……願いが一つ増えた。
　クロハを絶対に一人ぼっちにさせないで、幸せにさせるって事だ」


　>>71
【キャラシを確認しました。不備はございません。むしろ丁寧に書いて下さってありがたいです。優先度はそちらで自由に決めて良いので大丈夫ですよ。
　参加条件を達成したため、開始させてもらいます。よろしくお願いします】


　これは夢だろうか?
　人間の女性の手になった自分の手をまじまじと見つめながら、歩いていると、後ろから声が掛かる。

「ちょっと、道違うよ」

　振り返ると、翼を生やした少年が少し遠くの所で立ち止まっていた。すぐ側で声が聞こえたのに離れているのは、神様の力だろうか。「ごめんね」と一言行って少年に駆け寄ると、歩き出した少年の後についていった。

　あの人はまだ、私を覚えているだろうか。
　それとも、私をミィだと分かってくれるだろうか。
　次第に見えてきた家を視界に捉えたまま考える。不安と心配でいっぱいだ。

　「あとは君が何とかすれば良いよ」と言って、少年……テラが姿を消す。まるで最初から誰もいなかったかの様に消えた場所を少し見つめた後、目の前まで近付いた家の扉を軽くノックした。