今日も今日とてお客様のお相手。毎日が憂鬱であったけれど今日は違った。あの御方が来て下さったのだ。「っ!…お久しぶりですね、斐紗月様」斐紗月様が私の目に映ると、今まで静かだったものがトクントクンと少しずつ早くなり自然と口角が上がっていく。「貴方様が来ない間は、とても心苦しいものでありました。どうぞ、此方に御座りになって下さいまし」そう言い隣に来るように促しお酌を注ぐ準備を始める。