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携帯電話を知らない杏子は電話している様子を見て、随分大きな独り言だなと不思議に思いながらも「マグロ」と聞こえ耳がピクっと反応し青年の方を見る。妖とはいえ腹は減る。好物の魚の名前を耳にすれば反応してしまうのも仕方ない。

(お腹空いたな…でも、さっきあんな感じだったしアイツがご飯なんてくれるわけないし…困ったな)

一瞬目を輝かせるも冷静になって考え項垂れる。…この姿で媚びればご飯くれたりしないかな、なんてことを思い京夜に近付き擦り寄り喉を鳴らす。