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>>73

さりげなく中也が逃げ道を塞ぐよう出口となる扉に背中を預けて、此方を眺めている様を視界の端で捉えて確認しておいた。
僕は懐から社長に貰った何の変哲も無い黒縁眼鏡を取り出しては掛けて『超推理』と異能力を発動させる。その瞬間乱歩を取り巻く雰囲気が打って変わり。

「さぁ、単刀直入に問う。君、外国のあるマフィアと繋がっているでしょ。」
乱歩の観察眼が異常な動きで、問い質した瞬間の男の不審な様子を捉えていく。
其の時、僕の眼はある物に留まった。其れは、男が着ているスーツの胸ポケットに収まる箱状の物、＿煙草だ。
箱の上部しか確認できないが、僕にはそれだけでも十分であり、確信して僕は男を追い詰める手掛かりとして捉え、続け様に口を開く。
「其れに、中国系のマフィアと＿。其の煙草、中国製でマフィアで出回っている代物の、だね。」
此処まで言えば、思い当る節がある筈だ。
態と言い逃れが出来ないような言い回しで言う。僕は此の際、男が僅かな様子の変化を示したのも見逃さない。男はぐっ、と息を詰まらせるも、相手は素直に答える訳が無くあくまでも白を切るつもりで居るようだ。其れならば此方も手を打つだけの事。
僕は、否定する相手に核心を突くマフィアの名を紡ぐ。其処で漸く、男は堪忍して認めた。さて、此れで第一関門は突破した。
次は何故繋がっているのか、悪事の内容について暴く事、だ。