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「ッチ、相変わらず遣るじゃねェか手前……」
俺に銃口をつきつけ勝ち誇った笑みを浮かべる同僚を見上げ、にやっと口角を上げた。
ポートマフィア本部の地下、いつも手合わせをするこの場所。相手は勿論、この目の前にいる赤羽コウ。勝率でいえば、多分五分五分になるであろう、この日常のコイツとの手合わせ。
強い相手と渡り合えるのは、純粋に楽しい。だが、こうして俺と渡り合える相手が密かに想いを寄せる相手だった場合……楽しさは、何十倍にもなる。
俺は、この男が好きだった。
まあ、特にどうする気もない恋心だ。コイツ信じられないくらい鈍感だし、多分気づかれていないだろ。それなら、これから先もいい競争相手の同僚、という関係でいい。
少し寂しくなりつつ、服の埃をはたきながら立ち上がり、奴の赤い瞳を見据えた。
「まあ、約束は約束だ。俺の負けだからな、なんか一つ云うこと聞いてやるよ。何がいいんだ？」