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>>163

「…お前、若しや俺が何かの経験者だってのも知ってて言ってるならば其れもそうだな。」
まるで、俺が何を経験してきたかを知っている風な物言いに内心恐怖するが、其れを表さないよう努めて、ふんと鼻を鳴らしつつ軽薄に言う。
然し、暗に俺が経験してきた其れが何なのかを恐る恐る訊ねている訳であって、相手が何処まで知っているのか、と密かに慄きつつ、相手から目を逸らせずに、じっと返答を待つ。
俺が経験してきた事と云えば、剣道を二段までや合気道に、格闘技を習ってきたが、真逆其の事までも知っているとすれば…。と思うと、其の先を想像する事は出来なかった。