>>6咄嗟に掴んだ腕に力がこもり、意識して力を抜く。彼は、あの日の子ではない。「……その傷って、どこで?」奇妙な質問をしている自覚はあった。どうか虐待であってくれるな、と願う。>>7「体調が、優れなくて……良ければ、すぐそこなので、家まで……」声をかけても無視を決め込む者は一定数存在するが、この男は心なしではなかったらしい。内心でほくそ笑みながらも、間違っても演技が崩れないように取り繕った。