>>52「吸血鬼……たしかに、そうですね」そう言われて一人納得する。そして、恐怖より何より、もう一度あの痛みを感じたいと思った。それから、自分はこのあとどうなるのだろう、とも。この名も知らぬ男の秘密を知った訳だし、このまま生きて帰れないのかもしれない。まあそれでもいいか、と考え当たったところで、美味しそうな匂いがして顔を上げた。