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>>45

「んあ？良いぜ、やるよ。あー、トレードマークみたいなもんだからな。」

退屈な授業が終わり、小休憩に入れば窓外を眺め乍ガムを噛んで、時折膨らませたりと側から聞けば、耳を犯されるような耳攻めを受けているかのように、心なしか情事を思わせる、そんな錯覚に陥ってしまう音を立て、何処か憂いを帯びている眼差しもそんな姿が相まって、妙に色気を感じさせるのだろう、赤面する者もいたりと注目されていたが、ガムを強請られ振り向けば、先程の陰気さは消え去り、微笑みを湛えた表情で懐から取り出したガムを分け与えては、聞かれた装飾の事にも答えたり、女子からの『睫毛長〜い、羨ましい』と、伸ばしてきた手には身を引いて避け、集ってきて騒然となってしまった事に、隣席の彼を配慮してか、透かさず言葉を口にする。
「おっと、話し掛けてくれるのは嬉しいけどよ、邪魔にもなるし大勢で集うのは無しなー」と手で散るよう仕草をしつつ促す。
一抹の騒然は過ぎ去るも、ガムを噛む際の音が皆んなの思うような音に聞こえているとは無自覚故、考えものである。