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>>32

「助かる…あぁ、そうだな。」
相手のジャージを肩に羽織られると、仄かな修哉の匂いに、スンスンと嗅いで。
万が一の事も考え念入りに、しゃがんで机を視線の妨げにし乍、机上の体操着を手繰り寄せて着替え、ジャージを着ると不自然なくらいにチャックを襟まで上げ。
「長距離だって？よっしゃ。あ、でも…」
類が口にした今日の競技種目を耳にして、すくっと勢い良く立ち上がり類とは正反対の反応を示して、喜色を表すがふとある事に気付き、実力出せっかなぁと目を伏せ、沈んでしゅんと項垂れる。
ところが、俯いた事で長い袖に気付くと、下がっていた腕を持ち上げ、繁々と見詰めて考え込む。
なんつぅんだっけか、この袖状態の事を。
あー…、萌え袖？うわ、恥っず。
「……。！…奇遇だな、俺も自分のことかわいいって思ってるぜ。なーんて別に可愛かねぇよッ、お前らの方がよっぽど可愛いんじゃねぇの。」
自覚した途端、恥じらいの色を見せ、隠すべく袖捲りをしようとするが、わらわらと女子達が教室に戻ってきて、目敏く目に付けられる。
最初のうちはノリも兼ねてほれ、かわいーだろ、とあざとく口元に萌え袖を添える仕草をして見せるが、冗談だと訂正して。