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Re: 【指名制】空蝉を篝火で灯して、【募集中】 ( No.12 )
日時: 2020/06/18 22:29
名前: 睦花 (ID: CROAJ4XF)

>>11


 迷い込んだ鳥居の先、佳月は鳥居の柱の傍に息を潜めて一歩も動けずにいた。神社のお祭りにでも迷い込んだだろうか、と考え得る限り一番真っ当なシチュエーションで以て自分で自分を騙そうとしても、中途半端に働く脳がその可能性を否定する。視界に入る町の者は皆見慣れない和装であるだけでなく動物のような耳や尻尾が生えている者、翼がある者、角の生えた者も、そもそも人型ではない者さえいた。これをただの神社のお祭りだと勘違いできるほど佳月は馬鹿ではなかったし、しかしそれ故にしばしば貧乏くじを引いてしまう事が佳月にはよくあった。今回もその貧乏くじを引き当てたようで、少し先で往来するのが何かしらの異形であると気づくと目を開けているのすら怖くなって瞼をぎゅ、と閉じた、その時である。

「ひゃッ!? だっ誰、です、か……」

 低い男の人の声が耳元をくすぐって、咄嗟に目を開き声の主を捉えようと身を翻すと思ったよりも近くにいたようで至近距離で目を合わせる事になってしまう。覗き込むような赤い切れ長の瞳から何故だか目をそらす事ができなくて、張り上げた悲鳴も尻すぼみに小さくなっていった。


(開始文で描写不足なのに気付いて今回で後付けで描写してしまってます、申し訳ないです…;)