「ねえ雪ちゃん、最近すごいもの見つけたんだけどさ」
「なになにー?」
音楽の漏れが響くカラオケの一室で、少女二人は歌を歌わず話にふけていた。
雪ちゃん、と呼ばれた少女は、もう一人の少女を見て楽しそうに次の言葉を促す。
少女は、鞄の中から、ある液体と注射器を取り出した。
「え、これって……」
「雪ちゃん、これやってみない? 凄く気持ちいいよ」
「え、いや、でも……」
「他のみんなもやってるから、ね?」
少女は、にっこりと笑って針を友人の肌へと通した。
20☓☓年、人々が普通に暮らすその裏で、ある薬が出回っていた。
「Vital-W」(バイタル・フォー)と呼ばれるその薬は、通常の薬物の数倍の効果と依存性、毒性を持っていた。
そしてその薬は――人間の血によって生成されていた。
【説明】
■Vital-W(バイタル・フォー)
仕月研究所で作られている違法薬物。注射器で摂取できる。摂取すれば快楽を感じるものの、依存性が高く身体への害が覚醒剤の倍と言われている。
その性質を活かし、他人を破滅させる手段としてあえて過剰摂取をさせることもある。量によっては人を殺すことができる。
しかしVitalは摂取しても警察の検査でVitalの反応が決して出ない。そのためVitalで殺しても証拠が全くなく、足がつかめないとても厄介な薬物。
初期のVitalが改良を重ね、4型目ということで「Vital-W」という名前になっている。
一般人や社会には、その存在が知られておらず、ダークウェブや闇ルートでのみ知られている存在。
Vital-Wの原料は、特定の人間の「血液」である。血液中の有害成分が「Vital」と呼ばれているが、何もせず普通に過ごしていればVitalが体の主に外を及ぼすことはない。
■Vital有血者
有害成分Vitalが血液中にある人間のこと。Vital検査機によって判別でき、ハンディタイプの検査機もある。
Vital有血者の人間から血液を取り、研究所で加工してVital-Wが完成する。
Vitalの有害性は性行為により倍増することが研究で発見されており、仕月研究所の研究員の末端は採血の際、有血体質の女性を強姦して血を奪うことが多い。
■特殊型Vital有血者
Vital有血者より純性・有毒性の高いVitalが血液中にある人間のこと。ほとんどいず、かなり珍しい。
普通に生活していれば何ら問題はないが、この人間のVitalを摂取すると普通のものより数十倍の効果が適応されてしまう。
特殊型Vitalでつくられた薬物は「Vital-Z」(バイタル・セブン)と呼ばれており、出回っていない。Vital-Wと違い、量によっては瞬殺することも容易で、暗殺用途としても使われる。
同じく性行で有毒効果が増し、Wより効果が上なため、特殊型Vital者だと分かれば誘拐、強姦は確実である。
■仕月研究所
表向きは普通の大手製薬会社で、誰でも知っているほど有名。しかし裏では違法薬物、Vitalの研究をしており、Vital有血者を誘拐、監禁して血を取りまくる悪辣な手法を取る。
研究所の所長は「仕月宗次郎」で、研究の邪魔をしてくる人間は親戚であろうと暗殺している。
研究所の各拠点の地下室に採血監禁部屋や実験室があり、誘拐されたVital有血者は永遠にここで機械に犯されながら血を採られ続けている。
■テネブラ
仕月研究所の悪質な実験を阻止するため、研究所や薬物売買から一般人を守るために、結成された組織。
テネブラの戦闘員は特殊な訓練を受けており、攻撃手段はVital-Wを使い、薬物の過剰摂取により敵を殺す。このVital-Wの入手方法は闇ルートではなく、戦った相手から得た戦利品で、テネブラの基地の倉庫に大量に在庫がある。
Vitalで人を殺すには接近して注射しないといけないため、戦闘員の中にはVital-Wと普通の武器を併用する者が多い。遠距離戦を好む者は銃だけを使う。
任務で一般人の護衛を受けることもあれば、各自の判断で気になる一般人のボディーガードにつくこともある。また、一般人から依頼されて護衛につくこともある。
テネブラの戦闘員は給料が支給されるが、危険度により割に合わないと感じる戦闘員は個別で護衛対象に報酬を貰う。
【目次】
>>0 説明
>>1 男の子
>>2 女の子
>>3 登録書